不妊・去勢について

現在では大切に飼育されると共に、獣医学の発達による診療技術の向上、予防医学の普及(伝染病予防ワクチン及びフィラリア予防薬など)、食生活の向上に於いて寿命が長くなっています。その反面人間と同じように、成人病、悪性の腫瘍などに罹る危険性が高くなってきていることも否定できません。防げる病気があるのですから、不妊手術を施すことはとても有意義なことです。不妊手術を受けるとに肥満になりがちと言われますが、これはあくまでも飼い主の給餌・運動管理が正しく行われればなんら問題はないことです。手術を受けていない子でも肥満する子はいます。一般に不妊手術は自然ではない、可哀想だなどと考える方もいます。コンパニオンアニマルとして人と共生している以上、人間社会の中で私達の庇護なく生きていけない彼らのバースコントロールは飼い主であるご家族が責任もって考えなくてはならないと思います。

犬の避妊手術

雌犬は生後約6~10ヶ月齢で最初の発情期(シーズン)を迎えます。陰部が腫れ、出血することがありますが個体差により出血が確認できない場合もあります。この出血は排卵時に起こる充血出血です。生後5ヶ月~6ヶ月齢位から手術は可能です。手術後は勿論発情がなくなり、妊娠することもなくなります。その他のメリットは以下の通りです。

1.子宮蓄膿症候群になる可能性がなくなります。

卵巣の機能異常などにより、子宮内に炎症が起きたり、膿汁が溜まったりする病気で、気付くのが遅れた場合、命にも関わる怖い病気です。症状としては元気喪失・微熱・食欲不振又は廃絶・多飲・多尿・嘔吐・腹部膨満又は下垂などがあり、血液検査による白血球数はかなり高くなります。陰部から膿汁が出る場合もありますが、出ない場合(頸管閉塞)はこれらの症状が顕著に現われ腎臓など他臓器への負担も懸念されます。シニアのワンちゃんの死亡原因の上位に位置しています。

2. 乳腺の腫瘍(悪性)の発生確率がかなり低くなります。

乳腺の腫瘍の発生と卵巣ホルモンの間には密接な関連があるとされています。1度も発情を経験しないうちに避妊手術をした雌犬はそうでないものと比較すると乳腺腫瘍の発生率が顕著に低くなります。乳腺腫瘍はシニア期以降老年期にかなりの確率で発生する疾病です。この約半数は悪性腫瘍で罹患乳房の外科的摘出手術以外には有効な治療方法がなく術後も再発、他臓器への転移も懸念されます。

犬の去勢手術

雄犬には雌犬とは異なり定まった発情期はなく、発情した雌犬に誘われて発情します。適切な時期に去勢手術(睾丸摘出)を行う事によって、縄張主張であるマーキングが控えられる確率が高くなります。興味深げに雌犬のお尻の匂いを嗅いだり、マウンティングなどという非紳士的な行動もなくなることでしょう。去勢手術を受けておくと、前立腺肥大・前立腺癌・及び肛門周囲線腫な)になる危険率が顕著に低くなるとされています。

猫の避妊手術

雌猫は年に数回発情期を迎えます。猫の場合、発情期に陰部からの出血は見られません。排卵は交尾排卵(交尾による刺激で排卵が促される)なので妊娠する確率がとても高いのです。
避妊手術は通常、生後5ヶ月~6ヶ月齢位から可能です。手術後は発情がなくなり、妊娠することもなくなりますが、その他にも、将来、子宮内膜炎、子宮蓄膿症候群及び乳腺の腫瘍などの雌特有の疾病に罹る確率が格段に低くなるというメリットがあります。
雌猫の発情に関しては、屋外に出さなくても、雄猫を求めて昼夜を問わず大きな声で鳴き叫んだり、トイレ以外の場所で排泄してしまったり、おうちの方にとっては耐え難い状況になる可能性があります。かといってネコちゃんの発情の度にその願いを叶えてあげていたら、かなり大変な事態になります。

猫の去勢手術

雄猫は発情した雌猫に誘われて発情します。いくら外出させず室内に隔離したとしても、今日の住宅事情などを考慮すると屋外にいる発情している雌猫の雄猫を求める声、そして発情の匂いを完璧にシャットアウトすることは不可能でしょう。

去勢手術は精巣(睾丸)を摘出する方法が行われます。雌の避妊手術に比べると手術時間も短く簡単です。手術時期はなるべくマーキング行為(雄猫特有のスプレー行為=特に臭いの強いオシッコを霧状に色々な場所に噴霧する行動)をし始める前に手術を受けることをお勧めします。一度癖付いてしまったスプレー行為は手術を受けても直らないことがあります。但し癖付いてしまっていても直る可能性は否定できませんから諦めずに手術を受けて下さい。 イラスト

不妊手術を受けると肥満になりがちと言われますが、あくまでも飼い主の給餌・運動管理が正しく行われれば問題ありません。

前立腺の病気について
子宮蓄膿症について